なぜ、あえて中国へ?
これは、私がこれまで幾度となく受けてきた質問です。 正直、自分自身にもそう問いかけた瞬間はあります。 安定した会社員生活。 前職は上場企業で、収入にも将来にも困らない状況でした。それでも私は、40代で大きな決断をしました。
一言で言えば、「自分の在り方を変えるため」…
長年、日本企業の人事部門に携わる中で、優秀な人材が集まっているにもかかわらず、制度や施策が形骸化し、「人を活かす」という本質に迫れていない現実を感じていました。 「違和感を抱えたまま守りに入り、年齢を重ねていくのは嫌だ」―その思いが、決断の原動力になりました。
そんな時、中国で現地法人の立ち上げメンバーを探しているという話が舞い込みました。 待遇は下がるし、中国に行ったこともない。 言葉も文化もわからない。 しかし、だからこそ、これ以上ないほど自分を変えられるチャンスだと直感しました。 年齢的にも今しか出来ないのではないか…とも。
そして、実際に飛び込んでみると、想像以上に厳しい現実が待っていました。 文化の違い、価値観の違い、ビジネススピードの違い―日本での常識が通用しない場面の連続です。 けれど、その中で初めて、人事としてより、一人の人間として「人とどう向き合うか」を真正面から考えるようになりました。
中国で学んだ最大の教訓は、「人を動かすのは肩書きでも経歴でもない」ということです。 当たり前ですが、異国の地では日本の肩書も経歴も通用しません。 使えるのは、日本人駐在員の飲み会時の自己紹介の時くらいでしょうか。 必要なのは、リーダーとしての想いと姿勢、そして現地の人材を深く理解する努力。 自分自身のスタンスが試される場面が何度もあり、そのたびに「自分は何を成したいのか」を問い直しました。
結果として、私は次のような視点を得ました。
- 現地人材の強みを引き出すには、相互理解の仕組みが必要
- 日本のやり方を押し付けず、現地に合ったルールを一緒に作る
- 人事の役割は制度設計ではなく、現場の声を活かす橋渡し
Orbit Crossでは、そんな中国での実体験から得た学びをお伝えしていきます。 私の実体験を少しずつ綴っていきますので、良ければ参考にしてください。 現地人材のマネジメントに悩む人事担当者の方にとって、少しでも参考になれば幸いです。 再见
力蔵
転職を機に一人中国へ渡り、現地企業の事業運営のサポートや現地法人の経営、中国人スタッフのマネジメントに従事し、黒字化事業へ成長させる。実践を通じた東洋古典活用法の情報発信・勉強会を開催。